NICHE-2試験のwaterfall plotこそ、まさに"滝の流れ"だ!

ESMO 2022のPresidential Symposium IIで発表されたばかりで興奮冷めやらぬまま「今日の話題」としてUPしたい(誤字脱字、乱文長文はお許し願いたい)。

この試験はdMMRの局所進行大腸がん患者に初回Nivo (3mg/kg)+Ipi (1mg/kg)+2週間後に2回目Nivo (3mg/kg)を投与した後、外科手術へと移行するネオアジュバントIO試験である。医師主導の単アーム非無作為化試験ではあるが、107例がエントリーされた。

結論のみシンプルに書くと、なんと106/107例(99%)で病理学的レスポンスが得られた。うち、MPR(手術検体で生存腫瘍細胞10%未満)が102/107例(95%)、pCR(手術検体中に残存する生存腫瘍0%)が72/107例(67%)であった。Waterfall plotの形を想像して欲しい。まさにクジラを裏返したような!?(頭の部分が4%のPartial response = 生存腫瘍10-50%と、想像力に乏しくて申し訳ない m(_ _)m、ほぼ完ぺきな滝なのだ。

発表終了直後、しばらくの間は拍手が鳴りやまず、インパクトの大きさが伺える。エントリー症例のうち、74%の患者がハイリスクのIII期であり、このPhase 2試験のインパクト大の結果から、比較対象群を置いたPhase 3試験の実施を行うことは非現実的(非倫理的)かもしれない。

たった2サイクルのICI(うち初回のみIpi併用)でこれほどの高いレスポンスが得られたことから、今後は当然の流れと言えるかもしれないが外科手術の必要性についても議論されることになると予想される。発表の中でも"Future Directions"として、"organ-sparing approache"という単語が使われていたが、まさに"immuno-ablative therapy(免疫がメスになる)"が現実味を帯びてきたと期待が高まる。

同セッションの中で、メラノーマでのネオアジュバント vs. アジュバントの試験結果の発表もあり、結論としてネオアジュバント群の方が成績が良かった。これも他の幾つかの投稿記事で基礎的な話題を含めて紹介している免疫療法の理論が正しいことをマウス実験だけでなく、臨床試験でも証明されたと言えるだろう。

上記2つの発表は、現在進行中または今後の周術期ICI試験のデザインを含めて大きな影響を及ぼすことは間違いないだろう。やはり免疫療法は腫瘍(抗原)とリンパ節(免疫のゆりかご)が存在するネオアジュバントのタイミングで行ってこそ、その真価が発揮されることを強く再認識した瞬間であった。

もちろん安全性の精査や実臨床応用に向けた課題が皆無という訳ではないだろうが、この治療法が一日でも早く患者さんに届いてほしい。

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