薬剤に対する耐性を獲得するまでの間、細胞の生存状態を維持し、時間稼ぎをしていると考えられている細胞集団。大腸がんなどで存在が示唆されている未分化な幹細胞(いわゆるCancer Stem Cell)とは異なる概念であることには注意が必要である。
薬剤に暴露されると、細胞の代謝経路やシグナル伝達の変化、エピジェネティックリモデリングより、細胞が一時的な休眠状態を維持しているが、薬剤プレッシャーがなくなると薬剤感受性が回復する。

分子標的薬に対しての獲得メカニズムとして報告が多いが、免疫チェックポイント阻害剤などでも起こりうる現象なのか、(調べた限りでは)まだあまり報告がない。
また薬剤の違いによって、Persistent Cancer Cellの複雑なメカニズムが違ってくるのか、興味があるところである。

Persistent Cancer Cellがなくならない限り、がんは根絶できない。つまり、この細胞集団をいかに制御し、不可逆的な耐性獲得を遅らせるか、ということが、寛解に持ち込むことへのカギになるのではないか。

参考)
Cabanos et al. Cancers 2021
Leonce et al. Mol Cancer Res 2022
Moghai et al. JTO 2022