医者じゃなくても…

医者や研究者じゃなくても、何かもっと出ることはないのか…
仕事の中で湧いたふとした疑問を、とりとめもなく同僚と語り合ったところからこのプロジェクトは始まった。その日から、同じ想いを共有した私たちは、今どんなところに課題やニーズがあるのか、そこを解決するために自分たちができることは何か、毎日話し合いを続けることで、ある一つのコンセプトにだどりついた。

明日の臨床に届く、そして患者さんに寄り添うサイエンスを皆で

腫瘍免疫の基礎研究は日進月歩であり、日々の診療に追われている臨床の先生方にとって、縁遠いものかもしれない。一方、実臨床における課題というのは、実験室にこもっている基礎研究者にはなかなか届かない。(実際筆者も研究者の卵であった頃、自分の実験が実臨床に役立つ実感を感じることはなかなかなかった...。)
しかし基礎研究者と臨床医がそれぞれに考えたりディスカッションしたりしているだけではもったいない、私たちは臨床や研究に直接関与できなくても、臨床や研究におけるホットトピックを広く伝え、議論を深める場を作ることはできるはずだと考えた。
それが、Science toward tomorrow's Bedside =『St2B』の由来である。
そして、ScienceとBedsideがかけ離れたものではなく、お互いが補い合って一つになることが、いつか患者さんのより良い治療というゴールに少しでもつながれば、という願いをSBを繋げた四つ葉のクローバーに込めた。

小さく生んで大きく育てる

サイト構成に関しては何度も紆余曲折を経てきたが、今までにない切り口で、インタラクティブなサイトを作りたいと考えた。そのため、『Clinical Questionsベース』で記事を書くことにこだわり、随所に投稿BOXやコメント欄、そして投票コーナーを設けている。本サイトがClinical Questionについて気軽に議論できる場となるよう、(そして医者ではない私たちが間違った方向に突き進まないよう、)専門家としての皆様のご意見を投稿いただけると幸いである。
また筆者の本職の都合上、今は肺がんに偏った内容となっているが、癌腫問わず役立つサイエンストピックを別途記事やTipsとしてまとめており、また近い将来は癌腫横断的なClinical Questionも取り上げたいと考えている。ぜひ多方面からの読者にお集まりいただき、議論を深めていきたい。

医者でも研究者でもない素人が、カフェでの雑談から始めて勉強の末やっと立ち上げたこのサイト。たくさんの方に広まり、いつかは日本のがん治療の盛り上げ役として新しい基盤を作りたい…と大きな夢を描いている。
あるバーでの落書きから生まれ、今や腫瘍免疫の世界では誰もが知っている理論につながったChenとMellmanのCancer-immunity-cycleのように。

=代表プロフィール=


東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。
オンコロジーMSLとして活動中、担当ドクターからのニーズがきっかけとなり本活動を着想。
現在は製薬企業を離れ、サイエンスを活かしてオンコロジー領域に貢献するために奮闘中。

Mail: science-partner@st2b.net