他の細胞からテロメアを受け取ることでT細胞は長期免疫記憶を維持してる?!

9月15日付けのNature Cell Biologyに非常に興味深い報告が出ていた。このような基礎的な文献は職業柄あまりアンテナが高くないのだが(汗)、タイトル(An intercellular transfer of telomeres rescues T cells from senescence and promotes long-term immunological memory:テロメアの細胞間移動がT細胞を老化から救い長期的な免疫記憶を促進する)に惹かれて目に留まった次第である(やはりタイトルは大事!)。

以下、ササっと概要のみ記載するが、免疫学の面白さ & 生物学の精巧なメカニズムには常々驚かされる。
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・これまで、T細胞はテロメラーゼを活性化することで老化を遅らせると考えられていた。

・しかし、本報告から、一部のT細胞(主にナイーブとセントラルメモリー)は、テロメラーゼの働きとは関係なく、抗原提示細胞(APC)からテロメア小胞を獲得してテロメアを伸長させる可能性が明らかになった。

・T細胞と接触したAPCは”シェルタリン(shelterin):テロメアの末端を保護し、それによってDNA損傷シグナルの伝達や染色体末端のでたらめな修復を防いでいるタンパク質(Sarek G et al. Nat 2019)”を分解して自身のテロメアを細胞外小胞によってT細胞へ移送する。

・T細胞には抗原特異的な集団が存在するが、その老化の運命決定はAPCとの最初の接触時のテロメア小胞の移動に基づいている。

・APCからテロメアを獲得したT細胞は、クローン分裂が始まる前に老化から保護され、長期間の免疫防御をもたらす。

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