進行期がメインの対象であったIOやTKIの薬剤開発も、現在はより早期をターゲットにしたものに移行しつつある。

今回はその中でも周術期の治験を見るときの注意について考えてみたい。

術前療法における治験では、術前治療の前にランダム化するため、術前化学療法の途中で有害事象や病勢進行により手術ができなかった人も含まれる。評価としては、EFS(”Event-Free” Survival)が使用され、術前のイベントもすべてカウントされる。

一方の術後療法における治験では、手術終了後にランダム化されるため、手術が受けられ、かつR0が達成された"エリート集団"のみが選択された試験となっている。いったん手術により病巣が除去された症例が対象なので、評価指標としてDFS(”Disease-Free” Survival)が使われる。

もうひとつ病期の判定に関しても、術前の診断に使う臨床病期と術後切除標本を病理学的に評価して判定される病理病期とが完全に一致しないことも忘れてはならない(Solberg et al. Lung Cancer 2022)。

術前療法の治験と術後療法の治験は、どちらが良いかをつい直接比較したくなるが、患者背景がそろっていないために単純には比較できないということには注意が必要である。

ちなみに、、ESMO 2022におけるmelanomaのデータの中に、SWOG S1801という術前 vs 術後を前向きに評価したデータが出ており、非常に興味深かった。

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