免疫療法時代に肺がんにおける化学療法の役割を考える:周術期から進行期まで
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の登場により、従来の薬剤では達成し得なかったがんの根治が期待できる時代となった。ICIの開発が次々と進んでいく中で、従来から長く使われてきた化学療法の役割はなんだろうか。
ここでは、ICIが早期から進行期まで広く使われるようになってきた今、化学療法の出番はどこにあるのか改めて整理してみたい(TKIの開発もアクティブに進んでいるため、別記事で取り上げた)。
周術期における化学療法のメリット・デメリット
日本においては、これまで術前補助療法としての化学療法はスタンダードとされてこなかったが、ICIの開発により事態が一変しようとしている。最も開発が進んでいるCheckMate-816試験においては、従来の化学療法では殆ど得られないpathological CR率が24%となり、その後の追加フォローアップにてEFSのみならずOSでも有望な結果が示唆されたことからFDAで超迅速承認となっている(Forde et al. NEJM 2022)。むろん長期的にみた毒性評価の必要はあるが、現時点では術前補助療法としての ICIと化学療法の併用は有望と言えるだろう。