進行期肺がんにおけるICIと化学療法の使い方をリアルワールドデータから考える:併用 vs シークエンス
ドライバー遺伝子変異のないNSCLCの初回治療として、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)単剤(ICI-mono)に化学療法との同時併用(ICI-chemo)レジメンが加わって4年が経過した。ICI-monoかICI-chemoどちらを選択すべきか?というclinical question(CQ)が生じ、INSIGNA(NCT03793179)やLAPLACE-50(Kogure Y et al. Clin Lung Cancer 2021)など複数の前向き試験が進行中である。
今回はリアルワールドのエビデンスとともに両レジメンの使い分けについて考察してみたい。
ICI-monoかICI-chemoどちらを選択すべきか?というCQに答えを出すためには、chemo併用が必要な人、そして不要な人を正確に選択することが重要である。なぜなら既報データからICIが長期に奏効する症例はICI-mono、ICI-chemoに関わらず同程度であることが示唆されているからである。また、ICI-chemoレジメンのchemoは早期PDを防ぐのに役立つ可能性が示唆されている。
上記CQに一つの答えを出した報告としてHong L et al. Nat Commun 2023がある。
MDアンダーソンがんセンターにおけるリアルワールドの初回NSCLC治療にてICI-mono vs. ICI-chemoを比較した結果である。リアルワールドデータであるため、下記(コラム)のようなlimitationはあるものの、この報告では単施設ながらICI投与症例数が1,000例を超え、そのうち65%(700例ちょっと)で次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析も行われている点は特筆すべきだろう。
結果の概要を以下に示す。