手術に迷うIII期肺がんに対する最適な治療は?:免疫療法時代に考えるべきこと

ICI(免疫チェックポイント阻害剤)の登場は、これまで予後不良とされてきた進行期(特にドライバー遺伝変異陰性)症例の治療に大きな希望をもたらした。そして今やICIの開発の対象は早期がんにまで及ぶ時代となってきている。

ICIが導入されることにより、手術や放射線治療の位置づけは変わってくるのか。特に切除の可否や放射線照射の可否の判断が難しいIII期N2症例において、最適なレジメンを考え直す段階にきている。

ICIによる地固め療法は満場一致の有望レジメン?

PACIFIC試験は、切除不能なIII期の非小細胞肺がんにおいて、同時化学放射線療法後に病勢が進行しなかった症例を対象に、durvalumabとplaceboを比較した第III相試験。5年生存率が4割を超えるハイインパクトな結果となり話題を呼んだ(DR Spiegel et al. JCO 2022)。この結果を受けて、肺癌診療ガイドラインでも「同時化学放射線療法後のデュルバルマブによる地固め療法」は、推奨の強さ1Bとして標準療法のひとつとなっている。

ここで気になる点は、III期N2症例の扱いである。実臨床におけるIII期N2症例は手術の可否含めてヘテロな集団であり、ガイドラインの中でも【Ⅲ期非小細胞肺癌には種々の病態が含まれるため,呼吸器外科,内科医,放射線治療医を含めた集学的治療チームで切除可能かどうか,放射線照射可能かどうかを検討したうえで治療方針を決定することが重要である(CQ6)。切除不能Ⅲ期N2症例に対する標準治療は化学放射線療法であるが(CQ37),切除可能なⅢ期N2症例に対する導入療法後の外科切除も提案されている(CQ26)。】と記載されている。PACIFICにおいては、IASLCの「Staging Handbook in Thoracic Oncology ver.7」に基づいて適格症例が選定されたとのこと、実際の臨床現場では手術可能と判定されうる症例も含まれていた可能性が考えらえる。

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