周術期の薬剤開発:実臨床における真の価値を評価する最適なエンドポイントは?

周術期においてICIやTKIの開発が進み、その最適なエンドポイントが議論のひとつとなっている。
OSこそが真のエンドポイントという考えがある一方で、OSには後治療の影響が入ることで治験薬の直接的な効果が"薄まる"という意見もあるだろう。

確かに、治験薬の純粋な効果を知るためには、治療期間(つまりPFSやDFS)だけに着目するのが良いのは当然だろう。ただ、実臨床で本当に重要視されるべきなのは、後治療も含めてどこまでQOLを保ってOSを延ばせるか(例:どの薬剤をどのタイミングで使うのがベストなのか)ではないだろうか。

現在周術期で開発が進められているTKIやICIは、既に再発・進行期で標準的に使える薬剤である。その薬剤を周術期に使うことで、再発を遅らせるだけでなく本当にOS延長につながると言い切れるかは疑問である。

もちろん周術期にこのような新規薬剤を用いて治療介入することで更なる根治につながる症例もいるだろう。ただそれ以上に、不要な治療介入なしでも手術だけで根治できる症例や時間毒性・AE・薬価などのリスクで苦しむ症例が多くいることも忘れてはならない。

個々の症例に対して、リスクとベネフィットのどちらが大きいかを予測できるバイオマーカーがない以上、はっきりとした使い分けの答えが出せないことは心苦しいが、少なくとも患者さんにはこの現状を中立的に伝える必要がありそうだ。そして、薬剤フリーの期間(personでいられる時間)が重要か、できる限りの治療介入により(patientだが)がんフリーでいる時間が重要なのか、患者さんの価値観も含めて意思決定されていくべきだと思う。

各レジメン(術前・術後のICI、TKI)のサイエンスの観点からの使い分けの議論は、また別記事で取り上げる予定だが、今回はもう少し大きな視点で、今ホットな周術期の議論を見ていて思うことを書いてみた。(あくまで私見です!)

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