免疫チェックポイント阻害剤の投与はいつまで継続すべきか?

ICIをいつまで続けるべきか、これは以前からなかなか答えの出ていないCQである。
昨今周術期にまでICIが使われるようになり、術前ICI治療を実施後に術後も継続すべきか、という新たな疑問が出てきている。
そこでまずは、今までのエビデンスを整理しつつ、ICIの至適投与期間について考える第一歩としたい。

ICIで奏効が見られた症例は誰でも中断可能か? 

つい最近出た論文に、ICIを2年以上続けられた症例に対して、更に治療を継続した群といったんICIを中断した群に分類した後方視的研究のデータが報告された(Sun L et al. JAMA Oncol 2023)。結論から言えば、両群のOSに有意差は見られなかったとのこと。
ただし、2年時点でのORRとその後の成績との相関までは示されていない。
また、類似のデータとしてI-STOP試験も実施中であり、ICI実施2年時点でSD以上の症例に対する休薬 vs 継続が検討されている(poster #91P @ELCC2024)。

Melanomaでは、ICIを最短6か月投与した後「CR」が得られた場合には、ICIの積極的な中断が可能とされている(Robert C et al. Nature Reviews 2020)。
CRがなかなか出ない肺がんに完全に水平展開できる基準ではないものの、やはり「奏効の深さ」はポイントとなるのではないか。
実際にdepth of radiographic improvement は、ICIの効果の長期持続を決める因子の一つだとも報告されている(Thummalapalli R et al. Clin Cancer Res 2023)。

また、CM-153試験の探索的解析の中では、1年で投与を中断した場合と継続した場合を比較すると、CR/PR症例ではPFS・OSともに継続のメリットが示された反面、SD症例では有意な差が見られていない(Waterhouse DM et al. J Clin Oncol 2020)。

以上のことから、肺がんにおけるICI中断の基準に関する私見👇

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