併用療法の意義は?:相加・相乗効果について改めて考える
以前に挙げた「ICI治療において化学療法は積極的に併用すべきか?」の記事の中で、Palmer–Sorger model(Palmer et al. Cell 2017)の論文を取り上げた。
今回は、Palmer先生のグループから最新の論文が出ていたので(Hwangbo H et al. Nat Cancer 2023)、それをもとに改めて併用の効果について考えてみた。
まず論文を読んで着目した点は以下の通り。
・従来のモデル”highest single agent(HSA)”は、個々の症例が薬剤AとBのどちらにより奏効するかを正しく選択して単剤投与した場合を仮定。(→PFSAB = maximum (PFSA, PFSB))このモデルと実際の併用の結果が類似したものであれば、わざわざ併用せずとも、効果が期待できる方だけ投与すればよいということになる。
・今回の論文では、HSAモデルとは別の”Additive”モデル(PFSAB = PFSA + PFSB − PFSuntreated)を提案。HSAと比較してAdditiveモデルが実臨床データをより正確に予測できる可能性を示唆。
・つまり、併用により”相乗”効果は期待できないという結論はこれまでと変わりないが、”相加”効果はありそう⁉