JSMO 2024:気になるディスカッションをピックアップ

これまでXでつぶやいた内容も含めて、改めて注目演題についてまとめてみました。
これに限らず、明日からも随時Xや記事で情報発信していきます!

SY7:その治療、やり過ぎじゃないですか?

新規の薬剤が次々と開発され、ついつい治療介入こそが良いことのように思えてしまう。
しかし、治療には有害事象や経済毒性、時間毒性など、リスクがつきものである。過剰な治療を避けるために、適切な治療のやめどきを知ることも大切になってくるだろう。
例えばICI治療においては、いつまで治療を継続すべきかを検討する試験も行われており、過剰な治療を避けることの重要性も認識され始めている(関連記事はこちら)。
一方で、患者さんが人生の一部として治療に何を求めているのか、というサイエンスだけでは片付けられない要素も大切になってくるだろう。

📡エビデンスと患者さんの希望に合った治療介入とは?

SY17臨床試験結果の深堀り: 生物統計と医療経済の専門家を交えて

個人的に最も注目しているセッションのひとつ。

🤔たった1本の第3相臨床試験の結果で、承認・保険償還・ガイドラインへの反映、は本当に正しい?試験結果が異なる複数の類似試験がある場合の解釈とそのエビデンスレベルは?

🤔薬剤の性質(TKI、ICI、など)や新規性(全く新しい薬剤か、すでに進行期で使われている薬剤の早期における開発か、など)によって、妥当なエンドポイントは変わってくるのでは?

SY26:リキッドバイオプシーの現在と将来

現在、リキッドバイオプシーといえば、ほぼイコールで末梢血中のctDNA解析という印象が大きい。大腸がんではCIRCULATE-Japanの解析結果が昨年報告されたり(Kotani D et al. Nat Med 2023)と、ctDNAを用いた臨床試験では日本のプレゼンスも高く、期待がかかる。

また、乳がん領域でも、① 術後ctDNAの経時的評価/サーベイランス、分子再発後の早期治療介入による予後改善、②術前治療ctDNA評価による周術期治療の最適化、を中心に早期ステージにおけるctDNAの応用に向けた開発が進んでいる。

肺がん(NSCLC)領域では、上記2がん腫とは少し状況が異なり、感度/特異度の観点からも乗り越えるべき課題が多そうである。

従来の根治的局所治療である手術や化学放射線療法に、ICIやTKIといった新たな薬物療法が上乗せされることで、有効性(再発抑制)だけでなくAE増というリスクが出てくる。しかし、どの患者に、いつ、どのタイミングで治療を行うべきか?という命題に対し、MRD (ctDNA)への期待は非常に大きい。それが区別できないから”all comers戦略 (術後ICI/TKI含む)”というCQ解決のためにも、これら研究開発の重要性は高い。

SPY2:ICIで変わる、周術期治療

SPY3:腫瘍内科医に知って欲しい外科治療の進歩

SPY6:臨床開発や日常診療のためのReal World Data活用を考える

SPY7:がん診療は集約化か均てん化か

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