肺がんにおける術前・術後免疫チェックポイント阻害剤:メリット・デメリットの整理

Pre-IO時代のエビデンス

近年、周術期ICIレジメンの承認に伴い、背景情報としてpre-IO時代の化学療法(chemo)のエビデンスとなる術前(NSCLC Meta-analysis Collaborative Group; Lancet 2014)および術後(LACE; Pignon JP et al. J Clin Oncol 2008)のメタ解析データを目にする機会も増えた。術前・術後を問わず、プラチナ併用療法の施行によって5生率はどちらも5%程度の改善と同等であった(下図上段)。術前chemoによるインオペのリスクや、術後の病理病期に基づいて再発リスクの高い症例に術後chemoを施行する方がより望ましいとする考え、術後補助療法の豊富なエビデンスなどの理由から、術前よりも術後に補助療法としてchemoを行うことが主流であった(Okami J et al. J Thorac Oncol 2019)。これは国内のみならず海外でも同様で、術後に比べて術前chemoはわずか3%前後と非常に低い状況である(MacLean M et al. Oncotarget 2018)。

ICIの特徴を活かした周術期治療の幕開け

さて、時代はIOへと変遷した。術前のCM-816レジメン(3サイクルのNivo+chemo)および術後のIMpower010レジメン(プラチナ併用療法後に1年間のAtezo)が最近になって承認され、実臨床で使用可能となっている。今後read-outされる類似試験の結果や承認次第のところもあるが、現時点(2023年7月末時点)のエビデンスに基づき、周術期IOレジメンについても一覧で比較してみた(下図下段)。当初はMountzios G et al. Nat Rev Clin Oncol 2023を参考にしつつ、利点と欠点(懸念を含む)を整理し始めたが枚挙にいとまがないため、今回はPre-IO時代との比較を考慮して術前 vs. 術後ICIに特徴的な点を中心に厳選して作成した。

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