Real-World Dataの活用法は?利点を知り課題を克服するために必要なこと
RWD活用の現状
Real-World Data(RWD)は、文字通り実臨床での患者像を反映しており、患者を厳格な適格基準で選別し条件を揃えたサイエンス重視の臨床試験とは相反する特徴を持つように思われる。
しかし近年、臨床試験の効率化や薬事承認のためのエビデンス構築のために、このRWDの活用にむけた取り組みが重要視されているように思う。
日本におけるRWDを使った薬事承認への第一歩は、HER2陽性の切除不能な進行・再発大腸がん患者におけるpertuzumab+rastuzumab併用療法の適応拡大だろう。第II相医師主導治験であるTRIUMPH試験の結果と、SCRUM-JapanレジストリのRWDとを比較することで、大規模な比較試験を実施することなく承認に結び付いた(Nakamura Y et al. Nat Med 2021)。