がんの再発・再増悪の原因は?:がん細胞側と宿主側から考える
以前の記事の中で、休眠状態の“disseminated tumor cell”が免疫監視を逃れる理由は「T細胞との間の相互作用が制限されてしまうこと」という興味深い報告を取り上げた。T細胞と出会う確率が低すぎるが故に、T細胞に見つかることなくこっそりと存在し続けられる、というわけだ。
今回はこの概念も含めて、がんの再発・再増悪の原因について、更に深堀りして考えてみた。
まず再発・再増悪の原因となり得るがん細胞の種類を考えると、休眠状態(dormant)の“disseminated tumor cell”(=dDTC)、Drug Tolerance (Persister) Cells (=DTPC)、Micro/Minimal Residual Disease (=MRD)が挙げられる。どの細胞も増殖することなく、生存を維持している状態だ(=Cellular dormancy)。
(実はもう一つstem(-like) cellが考えられるが、転移能や治療抵抗性を持ち、増殖能を維持したまま居座るstem(-like) cellは、DTPCやdDTCなどの性質を併せ持っているため、どこに位置するか分からず、今後の宿題にしたい…)