臨床試験において時々見かける「PFS2」の意味を読み解く
今年のASCOの乳がんのセッションの中で、PFS2についてのディスカッションがあったので、この機会に「PFS2の意義」についてまとめておこうと思う。
①PFS2はどのような場面に適しているか?
まずPFS2の定義だが、EMAのガイドラインでは、ランダム化から2回目の客観的な疾患進行、またはあらゆる原因による死亡のいずれか早い方まで、と定義されている。
(ただし…EMAが15年前からガイドラインにPFS2を組み込んでいるのに対し、FDAのガイダンスにはPFS2の記載がなく、一般的に承認のためのベネフィット・リスク評価には用いられていない。)
PFS2の評価は以下の場合に適していると考えられる。
・OS評価が困難な場合:OSが後治療の影響を受ける場合や、増悪後生存期間が長い疾患において、PFS2がOSの代替エンドポイントになり得る
・治療戦略全体を評価したい場合:早期導入の意義、最適な投与順序、維持療法の効果、1次治療の2次治療への影響などにおいて、PFS2の評価が意味を持つと考えられる
しかしながら、PFS2も万能な評価ではないことが、ASCOのディスカッションの中でも議論されていたため、ここから少し掘り下げて考えてみたい。
②PFS2に影響を及ぼす因子
・そもそもの定義の曖昧さ(「次の治療ラインでの進行」や「無作為化から2回目の進行または死亡」等、イベントの定義が曖昧という懸念が残る)
・評価の方法、頻度、タイミングなど(PFS2まで評価する場合は、画像診断の頻度や評価基準が一貫していることが重要と考えられる)
・1次治療が、beyond PDで使用できるかどうか(beyond PDを許容することで、1次治療と次治療の効果を分離して評価できなくなること、PFS2における“二度目の増悪”の定義が複雑になることなど、解釈が難しくなることが予想される)
・対照群において、PD後のクロスオーバーが許容されているかどうか(クロスオーバーの有無が、PFS2の結果に直接影響するため、結果の解釈において必ず確認すべきポイントになる)
・PD後の次治療の規定があるかどうか(ない場合、何が選択されるか、薬剤アクセスの地域差も考慮されるべきだろう)
PFS2の代替指標として、「TFST (Time to First Subsequent Treatment)=ランダム化から、最初の後続治療開始または死亡までの期間」などが使われることもある。PFS2よりも定義が明確であり、試験外要因による影響を受けにくい。
PFS2は、臨床試験においても時々目にするエンドポイントだが、今後解釈をする際には、以上の内容を考慮しながら読み解くように心がけたい。
=PFS ratio=
希少がんや特定の試験において、PFS2を使ったPFS ratio(前治療のPFSとPFS2との比)が非常に有用とされている。
例えば、腫瘍の増殖スピード(悪性度)や患者の遺伝的背景、全身状態など、患者固有の要因が、PFSの比を取ることで相殺されるため、希少疾患、バスケット試験、アンブレラ試験等の症例集積が困難な場合でも、患者の不均一性を補正し、限られた症例数で試験設計が可能である。
ただし、PFS1とPFS2において、画像診断の基準や頻度など、評価の一貫性が必要であることには注意が必要だ。


