免疫チェックポイント阻害剤は術後より術前がbetter?:腫瘍ドレナージリンパ節にフォーカス
(その1)で「術前ICI > 術後ICI」の利点として、腫瘍内T細胞クローンの拡大やCD103+ (Batf3+ ) DCの重要性について触れたが、今回は新たな知見を含めてICI投与における腫瘍ドレナージリンパ節(TDLN)の意義にフォーカスして議論したい。
ズバリ、周術期ICI治療におけるTDNLの意義とは?
抗腫瘍活性を持つ腫瘍特異的T細胞の由来は?
腫瘍内に存在する全てのTILが腫瘍特異的ではない
殺細胞性抗がん剤や分子標的薬とは異なり、PD-1阻害剤は腫瘍を直接攻撃する治療法ではない。一般的に、PD-1/PD-L1阻害剤は腫瘍局所(TME)に浸潤している疲弊した腫瘍特異的T細胞と腫瘍細胞とのPD-1/PD-L1結合を阻害し、T細胞を再活性化することで抗腫瘍効果が得られるとされる。一方、TMEに浸潤するT細胞(総じてTILと呼ばれる)の中には、腫瘍を攻撃しない”bystander(傍観者)” T細胞も存在することが最近の研究で明らかになりつつある(Simoni Y et al. Nat 2018, Meier SL et al. Nat Cancer 2022:bystander T細胞については、別の記事で改めて触れたい)。
ではTILのうち腫瘍特異的T細胞のみが有する特徴とは何だろうか?
シングルセル解析から見える腫瘍特異的T細胞の特徴