免疫チェックポイント阻害剤の効果を正しく評価し次治療を考えるために:RECIST評価の限界

免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は、特徴的な効果発現パターンを持つことから、従来の化学療法や分子標的薬の効果判定に使われているRECISTによる評価では限界があることが以前から指摘されている。

この点に関してつい最近、増悪パターンによるPDの再評価を行った興味深い報告を見つけた(Saal J et al. JAMA Oncol 2024)。これは、Atezolizumabを使った5つの第3相試験(RCC、NSCLC、SCLC、UC、メラノーマ)のデータを使い、増悪パターンと進行後の生存率を評価したものである。最終的に新たなPD分類として、低リスク(既存病変のみの進行)、中リスク(既存病変の進行なし+新病変の出現)、高リスク(既存病変の進行+新病変の出現)の3つのリスクレベルを提案している。これは、ICI治療によるPD後の次治療の判断に重要であると考えられる。なお、論文の中では、低・中リスクに対するICI継続の可能性についても言及されている。

確かに、ICIの複雑な効果発現パターンに関して、既存の病変と新規病変に分けた評価がひとつの解決策になるのであれば、実臨床でもすぐに使える実用的な方法だと言える。

しかしながら、ヘテロな効果発現を本当に正しく評価するためには、更に時間・空間的な「粒度」を上げる必要があると考える。

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