ASCOの進行期非小細胞肺がんのデータを振り返る(Part2)

ドライバー変異陰性のNSCLCにおいて、ICIに代わる薬剤は出てくるのだろうか。今回は2つの中国のポジティブ試験を取り上げながら、考察してみたい。

ひとつは、PD-1とVEGFを標的とした二重特異性抗体であるivonescimabの中国のHARMONi-6試験。Sqを対象に、ivonescimab+化学療法とtislelizumab+化学療法を比較した結果、OSにおいても有意差が付いたことで注目を集めていた。しかしながらこの試験は、PD-L1高発現においても化学療法併用が前提とされた試験デザインである点が気になる。PD-L1≧50%の集団に対しては、PBR単剤と比較したHARMONi-7(グローバル試験)の結果を待ちたいところだ。一方で、化学療法併用に関しては、HARMONi-6のグローバル版として、HARMONi-3が進行中であるが、先日その結果が懸念されるようなニュースが出ていた。近々学会で発表になることが予想されるため、現時点ではivonescizumabの有効性について結論付けるのは時期尚早だろう。

そしてもうひとつは、TROP2を標的としたADCであるSac-TMT+PBRとPBR単剤を比較した中国のOptiTROP-Lung05試験。PD-L1≧1%に対して、PBR単剤と比較してPFSの有意な改善が認められたことで、会場ではかなり注目を集めていたと聞く。ただしこちらは先ほどとは逆に、1≦PD-L1<50%の集団においても対照群に化学療法が併用されていない点が気になる。そして更に、類似のグローバル試験であるEVOKE-03/KEYNOTE-D46が、最近無効中止となったことは無視できないニュースだ。こちらはPD-L1≧50%を対象に、TROP2-ADCであるSG+PBRとPBR単剤を比較した試験であるが、PFSの有意な改善が見られず、最終解析時点でOS改善の可能性は低いとの判断で、早期中止になったようだ。TROP2-ADCの効果も、未だ結論付けはできない状況と言わざるを得ない。(現在進行中のTOP2-ADC関連第3相試験については下図の通り)

ADCとICIの併用については、乳がん(ASCENT-04)や膀胱がん(EV-302)等では開発が進んでいるにもかかわらず、肺がん領域ではなかなか一貫した効果が出ていないように感じる。この差はがん種によるものなのか、試験デザイン等に問題があるのか…?個人的なひとつの見解は、併用による相加・相乗効果の前提として、単剤で既に効果が担保されている薬剤を組み合わせるべし、ということだ。これは、併用療法を考える上でのPalmer–Sorger modelの大前提である。この観点で再度それぞれの試験を見てみると、乳がんにおけるSG、膀胱がんにおけるEVは、それぞれ単剤で化学療法よりも高い効果が認められている。一方のNSCLCにおけるSGは、単剤でDocetaxelに負けており(EVOKE-01)、ここがICIとの併用の運命を分けたのかもしれない。

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