早期非小細胞肺がんに対する術後Osimertinibは“全例”に“3年間”必要か?
先日のWCLC2026にて、ASCO2020の最初の発表から大注目を集めたADAURAの8年追跡結果が報告され、同時に論文にも掲載された (Wu YL et al. J Thorac Oncol 2026)。当時問題になっていた「OSに差は付くのか」という懸念は、今回のOSの“有意差あり”の結果から一見払拭されたようだが、個人的に気になっている点がふたつある。
ひとつはcross-over率。ADAURA試験は当初プロトコル上でcross-overを許容しておらず、2020年4月に盲検化解除&cross-over許容に変更された背景がある。ASCO2023年の発表時点のcross-over率は43%であったが、最終的に対照群のどの程度が後続のOsimertinibを実施したのか、また途中の盲検解除とプロトコル変更に伴い、どの程度今回のOSに信ぴょう性が保たれているのか、個人的には少し懐疑的な部分もある。なにより、「再発後にOsimertinibへの移行可能性とその成績(再発後からの開始では追いつけないのか)」という最大のCQが未解決のまま、ADAURAがSoCとなることに懸念を感じているのは私だけだろうか。
もうひとつの懸念は、継続期間。GISTの術後TKIであるimatinibは、リスクに応じて継続期間の個別化する考え方も出てきている(Scheuble AM et al. ESMO Gastrointest Oncol 2026)現時点でADAURAは3年継続となっているが、果たして全例に3年間が最適なのか、そもそも根治が難しいTKIにおいて、治療中断の議論をすることにどれほどの意義があるのか、考えさせられてしまう。現在TARGET試験で5年間継続が検討されているが、どんな結果であれ一律3年 or 5年の結論にはしないでほしい。
とは言え、病期に関わらずOSに差を付けた術後Osimertinibは評価すべきであり、今後も実臨床で使われるレジメンであることは間違いない。そうなると、Osimertinib後の治療開発は益々急務になっていくだろう。
=EGFRとTP53の共変異=
今回は、切除先行→術後TKIの治療についてメインに取り上げたが、今後は術前療法も含めた議論が必要になりそうだ。
まずWCLC2026では、EGFR変異陽性II-III期NSCLCに対する術前ICI+chemo vs EGFR-TKIの病理学的奏効率が報告されており、pCR/MPRはTP53変異やPD-L1陽性症例で高い傾向が認められた。今後の長期追跡は必要であるが、EGFR変異症例の中にも術前ICIレジメンに適した症例がいることが示唆され、その場合のADAURAレジメンの位置付けが難しくなりそうだ(術前ICIレジメン→術後TKIはあり得る?)。
一方で、進行期のエビデンスではあるが、EGFR/TP53変異陽性NSCLCに対するTKIにchemo上乗せを検討したTOP試験の結果がELCC2026で報告されており、chemo上乗せによるPFSおよびOSの有意な改善が認められた。この結果を周術期に水平展開できるとすると、EGFR/TP53変異陽性症例には術前TKI+chemoも有望かもしれない。
EGFR変異のうち半数程度がTP53変異を有するというデータもあるため、特にEGFR変異の多い日本人においては、治療方針決定のためにTP53変異も検査すべきではないだろうか。

